Ashes and Snow

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Ashes And Snow: March 5-June 6, 2005, The Nomadic Museum, Pier 54, New York City/Gregory Colbert

 
 
東京・お台場で3月から開催されていた
グレゴリー・コルベールの「Ashes and Snow」。
6月24日が最終日で、その最終週に滑り込むように観に行った。



予想をはるかに超えてよかった。
日本人の建築家の設計ということで、
エキシビジョンと同じくらい興味を持っていたのが、
移動会場「ノマディック美術館」。
まるで、地球というプラネットに
突然空から舞い降りた、来世紀の教会。
スケール感があり、当日チケットの列に並んでいる時から、
期待がぐっと高まる。



作品構成は、和紙に刷られた大判の写真が50点以上、
長編(60分)の映像作品が1本、ショートフィルムが2本。
入口入ってすぐに写真、次にショートフィルム、
メインの大きなフロアで長編映像、
さらに進んでもう1本のショートフィルム、
そして最後にまた写真作品が並ぶ。

通路部分の床は厚い板張りで、
その周囲には玉砂利が敷かれている。
最低限の照明が作品だけを浮かび上がらせる。
会場を覆うシートは、
吹きさらすお台場の強風にバタバタと音を立て、
それもが自然の鼓動に思えた。

「灰と雪」というタイトルについてだが、
写真集の最初のページにこんな文章が載っている。


この世のはじめには、大空いっぱいに空飛ぶソウがいた。重い体を翼で支えきれず、木のあいだから墜落しては、ほかの動物たちをあわてふためかせることもあった。

灰色の空飛ぶゾウたちは皆、ガンジス川のみなもとに移り住んだ。そして、翼を捨てて地上で暮らすことにした。ゾウたちが翼を脱ぐと、無数の翼は地上に落ち、雪がその上をおおってヒマラヤ山脈が生まれた。(以下略)



この世(地球上)とは思えない背景の中に、
無音で交信し合う生命の静謐と躍動が、
圧倒的な存在感をもって迫ってくる。
これ以上ない完璧な構図は、
人間が創りえない神聖な世界を思わせる。

想像以上に映像作品が素晴らしかった。
上映スペースには、イスがわりに
シナベニヤ(かな…)で作られた円筒形の台が無数に置かれ、
観客は思い思いの姿勢で映像に見入る。
3本合わせて1時間半に及ぶのだが、
全く時間を感じさせなかった。

映像には、写真作品と同じようなシーンが登場する。
しかし、撮影は別々。
映像をキャプチャーして写真に仕立てているのではない。
よく見るとそれがわかる。

映像も写真もすべて合成はいっさいなし。
どこで、どうやって、どれぐらいの時間をかけて
撮影したのか、想像を絶する。
 
 
会場を出ると、グッズ売場。
写真集はかなり高額なので、DVDまでは買えないなぁと
思っていたのだが、その日はたまたまだったのか、
写真集の代金で、DVDやら何やらが全部、お・ま・け。

ラッキー♪


*右上から/DVD、シール、写真集、栞、ストラップ、the bird path、ミニブック
 the bird pathは、写真のパラパラ漫画のようなもの

 
 
会場を後にする頃には、
すっかり日が落ちていたのだった。


 
 
写真集の巻末にグレゴリー・コルベールのプロフィールがあり、
最後の一文はこう綴られている。

「Ashes and Snow ─ 灰と雪」に終点はなく、今後もどんどん新たな作品が加わってプロジェクトは進化してゆく。「灰と雪」もノマディック美術館も、芸術作品また建築作品として、常に進行中なのである。


ashes and snow

 
 
僕“たち”が、同じ時代に生き、
同じ時間を共有できたことを幸せに思う。
 
 
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