間違ってるのはどっち?
近くの温泉へ行った時のこと。
まずは主人公とシチュエーションを紹介します。
おばあちゃん連れの親子、
父と姉妹、そして一番下の男の子。
男の子はユウキくん(仮名)と言います。3つかな。
主人公はこの彼です。
お風呂上がりに、休憩室で牛乳を飲んでいた一行。
まずは小さな事件が起きます。
「おまえは落ち着きがないんだから…」と父にたしなめられるユウキくん、
飲みかけの牛乳を倒して、半分以上こぼしちゃった。
そこで、自分で空ビンを戻してこいと言われ、自販機のある場所へ。
「走らないでゆっくり行けよ」と父。
そんな楽しいこと、ゆっくり歩いてなんかいられません。
猛ダッシュで、先に休憩場所を出た僕を追い抜いていきました。
さて、自販機は3つあります。
ひとつは缶ジュース、ペットボトル系、もうひとつは紙パック系、
そしてユウキくんが飲んでいた牛乳系です。
元気いっぱい駆けていくユウキくん。
一番手前にある牛乳の自販機をあっさりと通りすぎて、
僕からはまだ陰になっていて見通せない、
ジュース系自販機の前に向かったようです。
牛乳の空ビン入れは、牛乳自販機のすぐ横、
さっきオーバーランした角にあります。
少しの静寂の後、「ガトン!」と音がしました。
あれれ。
僕はちょっと急ぎ足で自販機のところへ。
するとユウキくんは、ジュースの自販機脇にある、
赤い「びん入れ」「かん入れ」ボックスの前にいました。
(ああ、そこに入れちゃったんだね)
誰もユウキくんを責めたりできません。
牛乳「びん」だものね。
間違ってない。
ところがここからが問題です。
ミッションを成し遂げたにもかかわらず、
ユウキくんはまだ自販機の前を離れずに、
購入ボタンを押して遊んだりしながら、
僕が“牛乳”を買って飲むのをじっと見ています。
困りました。
飲み干してしまいました。
僕の手には空になった牛乳ビン、足下に空ビン用のケース、
ユウキくんの向こう側に「びん入れ」。
僕が牛乳の空ビンケースに入れたら、ユウキくんはどう思うだろう。
ちょっと考えてから意を決して、「びん入れ」ボックスの前に。
「ガトン!」
それを見届けたユウキくんは、
再び脱兎のごとく、
家族の待つ休憩場所へ戻っていきました。