「最上三十三観音」自転車巡礼の旅 - 3

【5/3】

とうかい〜黒鳥(19 東根山 秀重院)〜小松沢(20 青蓮山 清浄院)〜五十沢(21 如金山 喜覚寺) 〜延沢(22 祥雲山 龍護寺)〜六沢(23 光沢山 円照寺)〜上ノ畑(24 宝沢山 薬師寺)〜丹生村(30 鷹尾山 般若院)

泊:サンビレッジ徳良湖オートキャンプ場(温泉:花笠の湯)


今日から2泊3日、キャンプしながら山形市以北を回る。旅の荷物は伴走するクルマに預けるため身軽。計画では1日の走行距離が最長でも80km程度。御朱印受け所も7時半ぐらいから17時ぐらいまでなので、出発も、キャンプ地についてからもノンビリできそうだ。
とはいえ、初日は移動距離も長く、6カ所を予定。


 
 
■第十九番札所 東根山 秀重院(黒鳥観音)

最上三十三観音巡礼。黒鳥観音、十九番札所クリア。今日の予定はあと6カ所!

小山の頂きにある黒鳥観音。登りは短いながらも激坂で、素直に自転車を降りて押すことにする。登り切ると広い駐車場にトイレ、展望台を兼ねた東屋がある。東屋からの眺めは圧巻で、左奥に真っ白な雪を抱いた月山、その手前右側に葉山が連なる。

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駐車場の右に目指す観音堂があり、その敷地内に御朱印受け所。売店を兼ねているようだが売り物はほとんどなく、おばあちゃんが店番をしていた。聞くと、冬期間以外はここに一人きりで寝泊まりしているそうだ。

観音堂はどこも同じように風雪に耐えた歴史を感じさせ、侘寂の極み。それが逆に心を静め、癒してくれる。「元気と笑顔...東北に、日本に、そして家族に」。無言で唱える願にも気持ちが入ってきた。

第十九番 黒鳥|最上三十三観音 http://bit.ly/nZPO09
 
 
■第二十番札所 青蓮山 清浄院(小松沢観音)

最上三十三観音巡礼。小松沢観音、 二十番札所クリア〜。雪が境内に。

目に馴染んできた札所を示す赤いノボリを頼りに、林道(舗装路)のような道をひた登る。荷物を積んでの自転車巡礼であれば、手前に石段参道があるので、そこに自転車を停めて歩いて登る方がいいかもしれない。
山腹にあるにもかかわらず境内はかなりの広さ。山門もしっかりした作りで大わらじが掲げてある。立派な観音様だ。
観音堂の前に残る雪を踏み越してお参り。

ここを訪れてふと「バイクに一眼レフと三脚を積んで、もう一度きっちり写真を撮りながら33カ所を回りたい」という思いが湧く。きっとそうしよう。


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御朱印受け所も団体の巡礼者がゆったりと休憩できる座敷を持ち、宿坊を思わせる建物。御朱印をいただきながら少し話をしていたら、60歳過ぎの男性が一人、大きなザックを背負っての歩き旅でぼくたちを先行しているらしい。その後も他の札所で同じ男性らしい話を耳にするが、結局遭遇することはなかった。ちょっと残念。

第二十番 小松沢|最上三十三観音 http://bit.ly/oO0rpI
 
 
■第二十一番札所 如金山 喜覚寺(五十沢観音)

最上三十三観音巡礼。五十沢観音、二十一番札所クリア。 IMG_0343

平地から山懐に入り、また平地へ。観音巡礼は登って降りての繰り返しなのを実感。町場に札所が集っているような場所はほとんどない。これが地味〜に脚に堪える...。この日一番覚悟していた小松沢観音をクリアしたので意気揚々といきたいのだが、予定している三カ所を残し、ヘロヘロになってきた。
と、そんなところにこの石段。段数まで数えなかったが三十三観音の中でも最長かと。
御朱印受け所である別当は、観音の少し手前にある。道端に看板が出ていて途中確認できるので見逃すことはないはず。

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五十沢観音を目指す途中で見た「逆さ虹」とも呼ばれる冠天頂アーク。山形県のかなり広範な地域で見られたらしい。神々しい。

第二十一番 五十沢|最上三十三観音 http://bit.ly/mXViHe
 
 
■第二十二番札所 祥雲山 龍護寺(延沢観音)

最上三十三観音巡礼。延沢観音、二十二番札所クリア。脚がへろってきた...今日の目標あと3カ所!

五十沢をはじめ、尾花沢市には延沢、六沢、上ノ畑、尾花沢、丹生村の6つの札所がある。観音は民衆の救済のため三十三の姿に変身するとされ、「33」という数字はこれに由来するらしい。でも、数ある観音様のうち、どのような基準で三十三観音が選定されているのかは分からない。尾花沢市にこれだけ集中しているのはなぜなんだろう。(力関係? 笑)

[参考]
三十三観音の研究 http://riksys.web.fc2.com/jbk_33kan/jbk_33kan.html

延沢観音は尾花沢市街地を抜け、銀山温泉や鶴子ダム方面に向かう途中にある。延沢という地名は、今はこの周辺だけを指すようだが、銀山温泉の由来となる銀山は「延沢銀山」と呼ばれていたわけだから、以前はかなり広範囲を示していたのだろう。
いかにも古い街道らしい佇まいの街並みで、市街から緩やかな登りが続く。その街並みの中ほどに位置する境内には大きな雪塊が残る。観音堂は本堂の左側、白木造りと分かる新しめの建物で、豪雪から守るためなのか修繕中なのか分からないが一部にブルーシートがかけられ、ちょっと興ざめ。

第二十二番 延沢|最上三十三観音 http://bit.ly/qWIeXE

 
 
■第二十三番札所 光沢山 円照寺(六沢観音)

最上三十三観音巡礼。六沢観音二十三番札所クリア。 IMG_0346

延沢の街道をさらに銀山温泉、鶴子ダム方面へ進み、トンネルを抜けるとすぐ右側に六沢観音。延沢観音とは目と鼻の先だ。開けた明るい境内に御朱印受け所もあり、穏やかなご婦人の対応が印象的だった。
「巡礼」というぐらいなので、旅程の苦行もありがたみに含まれると思うのだが、自分の足で回っていると、近場に点在する札所はこのうえなく助かる。

第二十三番 六沢|最上三十三観音 http://bit.ly/nIkvV0
 
 
■第二十四番札所 宝沢山 薬師寺(上ノ畑観音)

最上三十三観音巡礼。上ノ畑観音、二十四番札所クリア。あと1カ所。

銀山温泉にほど近く、近年は焼き物の里としても知られる上ノ畑地区。昔は参勤交代の宿駅や関所も置かれるほど、交通の要所だったようだ。で、観音様も古くは温泉街の裏山にあったそうで...いや、その過程はともかく、そこまで行かなくてよくなったのが何よりだ(笑)
さて、あと1カ所!

第二十四番 上の畑|最上三十三観音 http://bit.ly/p1ZWVf
 
 
■第三十番札所 鷹尾山 般若院(丹生村観音)

最上三十三観音巡礼。丹生村観音、三十番札所クリア!今日はここまで!あとはキャンプ場で温泉、ビール♪♪ IMG_1460


まだまだ煩悩まみれの身としては、早くキャンプ場について、温泉だ!ビールだ!と気持ちが焦る。上ノ畑からは、宿泊場所である徳良湖への戻り道に近いので、今日のうちに回っておけば明日の旅程が少しでも楽になると自分自身を鼓舞する。
待たされた楽しみほど喜びも大きいからね。

その丹生村観音、マップでもなかなか正確な位置やそこまでの道が把握しづらかったのだが、実際現地に行くと...やっぱり分かりづらかった。ところどころに思い出したようにある看板が頼りだ。

今回の巡礼旅、雨が降ってレインウエアの必要がある時以外は、できるだけ「おいずり」を着て走っていた。最近はクルマで回る人がほとんどで、おいずりはいわばスタンプ帳、実際に昔ながらの巡礼姿は全く見かけなくなったという。
だから、ぼくたちがおいずりを着ているのを見て、「やっぱり、おいずり姿で回ってるのはいいねぇ」と札所で言われたり、道端で声をかけられたりもした。
丹生村観音でも、用事で出かけようとしていた別当さんが、おいずり着て走ってるぼくたちを途中で見かけたからと、戻ってきてくれたのだった。
着てるとすごく目立つので後方車への注意を促せてるように思うし、何よりも観音様に守られて走っている気がした。

第三十番 丹生|最上三十三観音 http://bit.ly/ndoNKZ

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1泊目の宿泊地はサンビレッジ徳良湖オートキャンプ場。
以前は怪しい(詳しくは語らないけど)松林の中の野営場といったものだったが、その対岸である南側に立派なオートキャンプ場が出来た。オートサイト、フリーサイトの他、バンガローも数棟。歩いて10分ほどの距離に温泉が隣接する。
ただし、この花笠温泉、塩素臭が強すぎて本来の温泉の魅力が台無し。汗を流すにはありがたいが、もう少しなんとかならないものだろうか。

その辺はさておき、キャンプ場に無事到着し、持参した生ビールサーバーを即設置。テント設営もそこそこにまずは乾杯。自転車で一日走った後のビールは至福、徳良湖に映る夕陽を肴に充実の一杯である。

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