「最上三十三観音」自転車巡礼の旅 - 7
【5/22】
とうかい〜岩木(18 恵日山 慈眼院)〜長登ながのぼり(17 寒江山 長登寺)〜長岡(16 長岡山 長念寺)〜落裳おとも(15 京集山 観音寺)〜岡村(14 金剛寺 正法寺)〜圓應寺(4 大慈山 圓應寺)
やってきましたよ、最終日。(この文章は追記として実は10/2に書いてます 笑)
GWの入りっぱな、4/29にスタートした巡礼の旅もいよいよクライマックス。長かったという気持ちと、あっという間という気持ちが半々。充実していたことだけは実感として。実際に回っている僕たちだけじゃなく、回りの友人・知人たちもなんとなく心を一つに応援してくれているようで、すごく感慨深い。この日もtwitterで知り合った方が応援に駆けつけてくれたり、雨にもかかわらず途中まで伴走してくれたり…感謝感謝。
この日の予定走行距離を含めて、468.5km(ルートラボ上)、平均して1日約70km。走りに走った。「元気と笑顔(東北も我が家も)」と納め札に書いた願いが本当にかなったら嬉しい。いやいや、かなうよね!
■第十八番札所 恵日山 慈眼院(岩木観音)
コンビニとうかいをスタートする時からすでに雨模様。気温も低めだったため、出発してまもなくレインウェアを着込んだ。岩木観音がある河北町に入ると、障害物のない田園を抜ける道は強い雨風が吹きつける。そんな天候のせいもあって、到着した時は、大げさじゃなく最果てに来たような気に。もうね、まさに修業。
岩木観音堂は、まだ白木の香りが漂ってきそうでキレイ。古びた他の観音堂だってもちろんこうして建てられた時があったわけで、地域の信心の深さ、歴史の始まりに思いを馳せる。
御朱印所は観音堂に向かう石段の登り口手前の民家。この日は留守で玄関前に御朱印セットが置いてあった。
第十八番 岩木|最上三十三観音 http://bit.ly/olbrBa
■第十七番札所 寒江山 長登寺(長登観音)
岩木観音を出て、紅花資料館の前を通り、慈恩寺方面に向かう。少し雨が上がってきたものの気温が上がらないので、レインウェアは着たまま。いくつもの集落を抜ける小さな道が楽しい。
長登観音の駐車場はR112沿い。そこから由緒ありそうな別当宅の脇を抜け、急勾配の石段に取りつく。名の由来もこの登りのたいへんさから来ているのかと思ったが、明治より以前は現在の中腹からさらに2kmほど登った山頂にお堂があったそうだ。かの時代の苦労いくばくか、である。
お参りを済ませ御朱印をいただきに別当宅へ戻る。上品で物腰の柔らかなご年配の奥様が、笑顔でねぎらってくれた。素直にうれしい。もうここから先は帰りながらの巡礼、元気が出る。
第十七番 長登|最上三十三観音 http://bit.ly/ndnSJU
■第十六番札所 長岡山 長念寺(長岡観音)
寒河江小学校のちょうど北側、「丸内」の地名が示すように古くから町の中心であった小路に、ひっそりと佇む長岡観音。名前が一緒なので親近感もひとしお強く感じるのだが、ここで事件(ハッピーサプライズ}が。
観音堂に納める納札は巡回数によって色が異なる。
1・2回「白紙」、3回「板札」、4回「赤紙」、5回「黄紙」、6回「青紙」、7回「紫紙」、8・9回「銀紙」、そして10回以上なら「金紙」となる。本式は100回目からが金紙と考えられていたというから、比類のない信心深さが金の札には込められている。で、めったにお目にかかることがないのと御利益があると言われ、見つけたら持ち帰ってもよいとされている。この金紙が、長岡観音にあったのである。3枚も。
おそらくというか間違いなく、先に経を唱えお参りをしていた方々のものと思われ、貼ったばかりのノリが手についた。先達が願をかけたお札を取ってしまうのは心苦しくもあるのだが、山形では金紙との出会いは「幸運」とされ、いつか自分たちが金紙を他の人に差し上げることで恩返しになる。また、金紙を貼った人は慈愛の施しになる。そう思い、ありがたく頂戴してきたのだった。
RPGなら、まさに「レアアイテム、げっとぉ〜!」である。
第十六番 長岡|最上三十三観音 http://bit.ly/qgmQPn
■第十五番札所 京集山 観音寺(落裳観音)
金紙に気を良くして(途中食べたラーメンはかなりイマイチだったけれど、お店のママさんがびしょ濡れのぼくたちを快く上がりに通してくれた)、同じ寒河江市内の落裳観音へ。なにやら小野小町、天女の羽衣の伝説が「衣を落とす」という珍しい地名と観音の由来であるようだ。
粛々とお参りを済ませ、次へ。あと2札所。顔がニヤニヤしてくる。
第十五番 落裳|最上三十三観音 http://bit.ly/mXRtk3
■第十四番札所 金剛寺 正法寺(岡村観音)
実は山裾を走る中山町内のR458を初めて走った。集落を縫うようにくねくねと走る道は、いにしえの巡礼の道だったことを伺わせて趣深い。岡村観音はそのR458からほんの少しだけ東に入った場所。石畳が整備された道に誘われて南へ寄り道すると、すぐそばに旧家・柏倉家があった。
雨が降ったせいもあるのだろう。洗い清められた空気が観音堂をしっとりと包み込んでいた。長岡観音でお参りをしてらした方々がここにも足を運んだらしく、お堂の中には金紙の納札が薄暗いお堂の中で光っていた。誰か他の人にも御利益がありますようにと手を合わせ、そのまま残して岡村観音を後にした。
ちなみに御朱印所はR458沿い、岡村観音より100mほど北のお宅。
第十四番 岡村|最上三十三観音 http://bit.ly/n9m5b2
■第四番札所 大慈山 圓應寺(圓應寺観音)
中山町の岡村観音からまっすぐ圓應寺に向かわず、スタート地点であり、サイクリングチームの事務局でもあるコンビニとうかいにいったん帰着。一緒に三十三観音回りを始めた友人たちと満願ランを決めることにした。四番札所である圓應寺観音を最後にしたのは、他の観音様も地元に深く根付き、地域の人々に愛されてきたように、ぼくたちにとっても地元の観音様で締めくくりたいという思いがあったからだ。それに、地元でありながら一度も行ったことすらなかったという!
圓應寺の観音堂は幾度となく建て替えられたために歴史の風雪にさらされた趣こそないが、三十三観音の中でも立派なもので、「山形三十三観音」の打ち止め札所でもある。
満願を果たした三人衆。左:ぼく、中:ずっと車で伴走してくれた友人のかっちゃん、右:かっちゃんの息子ユーヤ。改めて3人の後ろ姿の体形を見てみると、同じく左から星飛雄馬、伴宙太、花形満…的でもあるなぁ(笑)
第四番 圓應寺|最上三十三観音 http://bit.ly/p3URgT
こうして無事に満願。一番札所の若松寺へのお礼参りが残っているが、それは友人たち全員が満願を果たしてからのお楽しみ。それぞれの観音堂を「建築写真」として改めて写真に納めたいという思いが強く、2巡目は一眼レフを担いでのバイク巡礼の予定だ。
今回、自転車で三十三観音を巡って感じたのは、自分の足で回ることの意味、「ようやく辿り着く」ことの意義。
御利益が高いかどうかは別として、苦労に報いる観音堂の佇まいや別当さんのねぎらいはとても心を穏やかにした。後半は「観音様がついていてくれる」と本気で思っていたし、困った時の神頼みじゃなく、祈りは日常の暮らしの中にあるのだなぁという気持ちが強くなった。
庄内にも置賜にもそれぞれ三十三観音があり、最上と合わせて「出羽百観音」と呼ぶらしい。特に置賜三十三観音は来年、平成24年5月1日〜10月31日の半年間、初の連合ご開帳とのこと。ぜひ回ってみたい。
置賜三十三観音連合ご開帳|http://bit.ly/p3gHl9
以上。最上三十三観音巡礼エントリーもこれにて満願。
■「最上三十三観音」自転車巡礼の旅 - 1
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