黒ラーメン「春珍」
エントリーしようかどうか迷った。
南陽〜米沢間のR13号線沿いにあるこの店、
ラーメン好きに限らずとも、
気になったことがあるんじゃないだろうか。
ぼくも一度は意を決して駐車場に入ったものの、
水道工事とかの臨時休業にフラれている。
で、その日は同行スタッフ(犠牲者ともいう)がいた。
撮影は昼過ぎからなので、
その前にどこかで昼食でもと思いつつ、
街道沿いにあまたのラーメン店が並ぶなか、
よりによって選んでしまったのだった、この店を。
店舗は主人の手づくりである。
店内は、天皇・皇后両陛下の額入り写真や、
手書きのお城の壁画や、ビールの古いポスターや、
昔の豆炭あんかや、さりげなく置かれた白いギターや、
懐かし昭和の風情と言えなくもないのだが、
ぼくには、どこか東南アジアの場末のヤバイ店に迷い込んだ...
東南アジアも、その場末にも行ったことがないが、そんな風に思えた。
少なくとも衛生的な感じは、、、しない(笑)
こういうの平気な方なのだが、
前日からの徹夜明けで体調不十分だったせいだろうか、
なにやら生命のキケンを感じるのだった。
出された水を口に運ぶのに勇気がいった。
オーダーしたのは、竹炭を練り込んだという
手打ち麺を使った黒ラーメン。
頼む際に、普通のちょい辛と中辛と大辛と、どれにします?
と聞かれ、あ、普通で...とすでに及び腰である。
スープ。
予感を上回る、強烈な東南アジアンエスニック。
赤い脂(たぶんラー油なんだろうけど)が浮いていて、
見た目は無国籍風麻婆豆腐汁といった風体。
かなり濃いめの醤油味で、
一口めは「意外と美味しいかも」と思ったのだが、
なにせ、ハナっから完全に気持ちが負けている。
麺。
これは、イケる(と思う)。
縮れのある太麺で、歯ごたえはかなりのもの。
しかも、よくスープがからむ、ので、困る(笑)
チャーシューは豚ももか。
肉厚で食べ応えのあるのが2枚。
が、これも、どうもアカン。
今となっては、萎えた気持ちがそう感じさせたのか、
それとも本当にそうだったのか定かでないが、
微妙な臭いが気になってしょうがないのである。
メンマしかり、ネギしかり。
店主およびファンの方にはたいへん申し訳ない。
「ぼく、死んじゃわないかな...」と、おののきながら、
目をつむってかきこむように、というか、
早く目の前の食べ物を無きものにして店を出ようと、
そればかり考えて、急ぎ喉に流し込んだ。
平静を装ってはいたが。
あえて言おう。
ぜひ、行ってみてほしい。
店とラーメンの、このタダモノじゃない個性を、
肌で喉で感じてほしい。
狂おしいぐらいに病みつきになってしまう人が
必ずいるに違いないのだ。
迷いながらエントリーした理由はここにある。
■与作ラーメン 春珍
山形県高畠町大字糠野目1037
0238-57-3329
休:木
黒ラーメン:550円
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