中華そば「たけだそば屋」
昔ながらの界隈や村落には、
「出前を取るならここ」と決まった店が
必ずあるものだった。
それらの店は多くの評価を求めない。
ご近所で愛され、出前で生業が立てばそれでよし。
なので駐車場など不要。
たまにぶらりと現われる馴染客のための、
最低限の席だけは小綺麗に整えられている。
■たけだそば屋
山形県山形市大字長谷堂84-2
023-688-2561
11時〜13時半/17時〜19時
中華そば:400円
子供の頃から出前で親しんだ地元店。
妙に評判になって客が増え、
席数を大きく改装したり支店を出したり(のれん分けは別ね)...。
そんなふうにした結果、
「なんか味が落ちたねぇ」なんて風評が立つのも珍しくない。
また、何度か書いているように、
地産地消を謳う店に県外から客を集めるという
フードマイレージ的な矛盾。
それこそ、このブログのように、
余計なお世話でよその土地の店をとやかく言う傲慢さ。
これらをひっくるめて一言。
わざわざ出かけるのはやめましょう。
ご近所のお店を愛しましょう。
旅や何かの所用で近くに出かけた際には、
その土地の味として楽しみましょう。
なんてね。時々自省を込めて書いておきたいと。
...前置きが長くなりました。
この日は白鷹で昼過ぎから撮影の用事があり、
ならばと少し早めに事務所を出て向かった先が、たけだそば屋。
美味い、美味いとの評判だけは耳にしていたのだが、
これまでなかなか行く機会に恵まれずの初入店。
店が見えるところまで辿りつくと、
13時をちょいと過ぎただけなのに、早くも
おばちゃんが暖簾を下ろしかけている。
慌てて走り寄って「まだいいですか?」と聞くと、
照れ笑いしながら中へ招き入れてくれた。
オーダーした中華そばがほどなくテーブルに運ばれる。
レンゲはなし。
丼を両手で持ち、縁から直接スープをすする。
鶏+牛出しの香りと、しょうがの風味。
あっさりとしたコク(美味しいスープはいつもこれだね)、
麺にからむとわずかに甘さが感じられる醤油だれの旨味。
その麺は中太で緩くうねる。
出前中心店ならでは(?)の、ほの固めに茹でられた
歯触りと喉越しを楽しみながら、
昭和のニュースでも流れているかのようなTVを見やる。
今は亡き祖母の家でいつも食べていた出前の中華そば。
小さいくせに大盛りを頼むと、
「ほだえたべるいんだがよ〜(そんなに食べられるの?)」と言って
うれしそうに笑いながらぼくの顔をのぞき込んでいた祖母。
とてもやさしい気持ちになって、暖簾が下ろされた店を出た。
美味しいよね、中華そば。
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タグ:山形市