iPhoneは山形では使えない?






auのケータイからiPhoneに切り替えて、
約3ヵ月が経った。

もともとが新しもの好き、ガジェット好きなので、
初代iPhoneが出た頃は、会う人ごとに、
「買わないの?」と言われ続けた。
その理由のいくつかは、以前もちらりと書いたのだが、
一言で言うと、「山形に住んでるから」がその答えだった。

@iPhone


なぜ、山形ではiPhoneが使えないか。
Webブラウジングも含め、
携帯電話に比べ圧倒的に豊かなコンテンツを、"いつでもどこでも"。
これがiPhoneの最大のアドバンテージであるはずだ。
しかし、山形においては、この"いつでもどこでも"が、
ほとんど優位性、メリットを持たない。
(もしぼくが東京在住なら、間違いなく発売と同時に買っていた)




1)
その第一が、Twitterへいただいたコメントにもあるように、通話エリアの問題。
厳密にはiPhoneか携帯電話かではなく、キャリアの問題なのだが、
ちょっと山際に行くとあっという間に圏外だ。
(特に、ぼくのフェイバリット・エリアである月山山麓、志津温泉で使えないのはかなり痛い。)

2)
"いつでもどこでも"とは移動中または移動先でのことを指す。
電車+徒歩移動がメインの大都市と違い、
山形の場合は移動の90%以上がクルマである。
運転中にiPhoneを利用するのは無理だ。
移動先においても、ちょっとした時間を有効に使う、
その「時間」が限りなく少ない。
ノートPCが必要なら、クルマ移動でその重さは全く苦にならない。

3)
スキー、キャンプ、自転車、温泉など、
山形は"いつでもどこでも"アウトドアでの楽しみが尽きない。
釣りだってカヌーだって登山だって、30分圏内にフィールドがある。
そしてiPhoneはと言えば、
「水に弱い」「衝撃に弱い(保証の脆弱さ)」「バッテリーが持たない」など、
アウトドアにおいて三重の弱点を背負っている。

@iMac






まさにそうなんだ。
山形でiPhoneをめいっぱい使い倒したいと思ったら、
"移動中"のメリットを享受できないとすれば、
この恵まれたアウトドアフィールドでの活用が肝になる。
にもかかわらず、軟弱シティーボーイ(古っ)のiPhone。
Appleに「アウトドアを楽しむアプリケーション
というサイトがあるが、あれは、
「都会にいながらにしてアウトドアを感じられるアプリ」
という言い方が正確だろう。


@iMac
 
 
それが分かっていて、
なんでiPhoneにしたのかってことだけれど、
カーナビの音声対応と日照アプリの存在、
そして、Twitterをちゃんと始めようと思ったこと。
大きな理由はこの3つだ。

@iPhone
 
 
まず、カーナビ。

itsumonavi.jpg

ゼンリンが提供する「いつもNAVI」。
リリース当初はApple側の規制で搭載できなかった「音声案内」に対応し、
「リルート検索」「ヘッドアップ機能」とともに、
使い勝手のよかったauのezアプリ「助手席ナビ」と同等になった。
同機能なら、画面が大きくタッチスクリーンであるiPhoneが
圧倒的に使いやすい。
クルマにカーナビがなく、取材で初めていく場所が多い仕事柄、
「いつもNAVI」が音声未対応のままだったら、
ケータイからの乗り換えはあり得なかった。

GPSでの位置捕獲がイマイチ、渋滞情報がないといった
不満のレビューがあるけれど、
交通環境のゆるい山形などの地方なら、ほぼ完璧。

ez助手席ナビは月額使用料が350円。
「いつもNAVI」は年間2800円である。

 いつもNAVI
 
 
次に、日照アプリ。

sunseeker.jpg

「Sun Seeker」。
これぞ、iPhoneアプリの真骨頂というすぐれもの。
建築写真を撮る時には、特に外観撮影に太陽の位置の把握が不可欠だ。
たとえば、建物の正面に日が当たるのは何時ごろか、
午前か、午後かなどといった場合、
「Sun Seeker」を起動すると今日明日の日の出・日の入りの
時刻と方角がグラフィカルに表示される。
また何時ごろにどの方角に太陽があるかも把握できる。

太陽の位置が低い冬期では、建物の正面に日が当たらない場合も、
3月なら?5月なら?と任意の月日を設定することも可能だ。

このアプリがすごいのはここから。
カメラのアイコンをタップすると、たとえ曇りの日でも、
画面を見ながら太陽の方位・高度を確かめられる。
「3D Augmented Realiy Viewer」とサブネームが
ついている所以である。

こいつを住宅地図や、プリントアウトしたGoogleマップ上で、
建物の立つ方角に合わせて置けば、
現場にいるとのほぼ同じ感覚で日照状況を把握できるわけだ。
すばらしい。建築系に限らずカメラマン必携。
アウトドアやキャンプでも、オフラインで使えるこのアプリはうれしい。
3D表示まではいらないという人には、
無料版の「Sun Seeker Lite」もある。

Sun Seeker: 3D Augmented Reality Viewer
 
 
先述しなかったが、ファイル共有アプリ。
これは2つある。

evernote.jpg

まず「Evernote」。
大きな特徴は、PCにインストールするローカルアプリ、
Web上で利用するクラウドアプリ、
そしてiPhoneアプリの3つの環境でクリッピングした情報(ノート)を
共有できることだろう。
クリップするのは、PC上のファイルならほぼなんでも。
・Webページをブックマーク代わりに
・それも、ページ全体でも、選択した一部分でもOK
・PDF、画像、Excel、テキスト
と、なんでも放り込めるうえに、検索機能もスグレモノ。

OCR機能があるので、たとえば写真に撮った名刺から、
英数字を読み取って表示してくれる。
ローカルアプリなら英数字だけでなく日本語読み取りにも対応した。
プレーンテキストなら、iPhone側で修正・加筆もできるので、
メモや文章を、いつでも見直せる。
3つの環境のシンクロは、自動でも手動でも行えるから、
自転車旅日記もこれで書けば、
3GかWi-Fi環境に入ったところで同期すればいい。

ちなみにケータイからも利用可能。

Evernote
 
 
もう1つがこれ。

airsharing.jpg

「Air Sharing」。
アプリを起動して、PCと無線LAN(Wi-Fi)経由で繋ぐと、
外部ストレージ化できる。
任意に新規フォルダを作ることも可能だし、
かなり多くのファイル形式に対応している。
ファイル共有アプリには、有名な「DropBox」がある。
こちらはクラウド系なので、オフラインでは使えず、
山形向き、アウトドア向きとは言えないが、
「Air Sharing」はiPhoneローカルにファイルを保存するため、
ホントの意味で、いつでもどこでも見ることができるし、
いちいちネットにアクセスしないので、表示も早い。

ぼくはこれに、国土地理院の地図閲覧サービスのWebページから、
月山の2万5千分1地形図をPDF出力して入れてある。
縮小拡大は自由自在でキレイ。充分に実用可能なレベルだ。
そのうち、県内の主な山やフィールドを、
全部取り込んでやろうと思っているところだ。

恒久的に何度も使うのが分かっているファイルは、
「Air Sharing」でiPhoneへ。
そうでないもの、またはとりあえず的なファイルは、
「Evernote」に放り込む...そんな使い分けがベストだろう。

Proなら、iPhoneから直接印刷できたり、
メール添付できるらしいが、そこまでは不要かと。

Air Sharing
 
 
そして、なにかと話題のTwitter。

twittelator.jpg

Twitterに対応したアプリは数多くあり、
ぼくもいくつかのアプリをインストールしているが、
メインに使ってるのは「Twittelator Pro」。
最低限のことならWebブラウザで充分に使えるし、
多くのiPhoneアプリの中でどれがいいかは好みにもよるので、
Twitterに限っては、アプリの話をするつもりはない。

ぼくはTwitterを単なるつぶやきを共有する
コミュニケーションツールではなく、
様々なAR系(位置情報を活用した)サービスの、
プラットフォームと考えている。

GPS機能を備えたiPhoneで
Twitterを利用する意味は、そこだと。

ARサービスそのものが、
場所を介したコミュニケーションツールであるが、
それらの情報(ブログも)をTwitterに集約させることで、
さらに共有する人を増やすことができる。
ユーザー自身が情報を付加していくことで使い勝手が増していく。
山形がもっともっと楽しい「遊び場」になる可能性を、
これらのサービスは秘めている。

その有効性や可能性に気付いた企業では、
Twitterを積極的に活用していこうとする例が増えているが、
何かの役に立てようとか、新しいビジネスモデルにとか、
地域活性化の起爆剤にとか、
考え過ぎ、力み過ぎたらアカンと思う。

"パーソナルメディア"だからの可能性だし、
楽しく面白いのである。勘違いが多すぎる。

昔々、今はなきダイエーの入口付近で、
携帯電話のデモをやっていたのに遭遇した。
要は「自宅や友人に電話してみませんか」というものだった。
さっそくぼくは自宅にかけてみた。
「すごいよ、今さ、携帯電話から電話できてるんだよ!」
家人はこれにこう答えた。
「だから?」

世の中、そんなもんである。
お気楽にいきましょ。

Twittelator Pro
 
 
いい加減長くなってきたが、
iPhoneのハード面の軟弱さをどう解決するか。
多少なりともアウトドアに耐えられる、
ヘビーデューティー(これまた古っ)なやつに仕立てるか。
ぼくなりの仕様を紹介してみる。

まず、耐衝撃性。

 


「SwitchEasy CapsuleNeo for iPhone 3G」(左)。
もうね、このケースしかない。
SwitchEasy社のケースは他にもあって、どれも評判がいいが、
ぼくはこれ。全幅の信頼を寄せている。
ピータイルの床に一度、
バスルームのような普通のタイル張りの床に一度、
アスファルトの上に一度、計3回ほど落としたが、全く問題なし。
極薄シリコンとポリカーボネイトの二重構造で、
完璧にiPhoneを守ってくれている。
もっと武骨なケースがいくつあるが、普段使いには向かない。
山形のように町と山が近く、ほとんどシームレスだからこそ、
構えてケースを使い分けるってのもちょっと。

そして、「パワーサポート アンチグレアフィルム」(右)。
反射を抑え、手の脂にもぎらつかない。
液晶面の保護フィルムとしては、
現在のところ他のフィルムに変えるつもりはない。
 
 
そして、防水対策。

 


SEAL LINEの「エレクトロニックケース」(左)。
専用のハードケースも発売され始め、
右側のMSY「iCrew」も、自転車乗りにはとても気になる存在だが、
常用しているSwitchEasyのケースをいちいち外すことなく、
そのまま持ち歩くにはこの手のソフトケースがいい。
その中でも、SEAL LINEはシンプルで、アウトドアでの歴史も古い。
入れたままでタッチスクリーンの操作もできるし、
表裏とも透明なので、カメラもそこそこ使える。
通話はBluetoothのワイヤレスヘッドセットを利用すれば、
問題なしだ。ジップロックでもいいんだろうけど。
 
 
で、最後。

 

ソニーエリクソンのワイヤレスヘッドセット「VH300」。
先述したように、雨や雪の日もSEAL LINEに入れたままで
通話するための必須アイテムがこれ。
以前は、耳掛け一体型のものを使っていたが、
マイクが遠いせいか、どうしても相手側で聞き取りづらいらしく、
「声が遠いねぇ」と何度も言われた。
そのうえ、ちょっとしたことで落ちそうになるので、
自転車では怖くてとても使えない。
その点、このVH300は、抜群。
マイクとイヤフォンが別々で、マイクが口元に近づけられるため、
ヘッドセットを使っているとは、まず気付かれない。
イヤフォンと耳の密着度も増して、
相手の声も明確に聞こえるようになったし、
落ちる心配はほぼ皆無、重さも気にならない。

それでも、ずっと耳に着けておくのがイヤな時は、
イヤフォンだけをぶらんと首にかけておいて、
iPhoneに着信があってから着けるようにしている。

確かに一体型の方がスタイリッシュかもしれないが、
この年だと、補聴器に見られる気もするしね。
色はこの他に、シルバーとブルーがある。
 
 
最後の最後。

 


BELKINのFMトランスミッター、
「TUNECST AUTO4」(左)。
バッテリーに関しては、気軽にクルマで
アウトドアにでかけられる山形にアドバンテージがある。
フィールドに到着するまではクルマから電源を供給すれば、
ナビや天気予報、仲間との連絡などで、
バッテリーを消費しないですむわけだ。
BELKINのがすぐれている点は、
SwitchEasyのケースをつけたままでDockコネクタが使えること。
iPodプレーヤーのON・OFFが、
エンジンのON・OFFと連動していること。
「いつもNAVI」のガイド音声もクルマのスピーカーから流せ、
もし音楽を聴いている最中でも、その時だけ、
iPodのボリュームがスムーズにミュートになる。

このおかげで、バッテリー100%でフィールドに出られる。
その後は、eneloopのブースターでフォローだ。
 
 
SoftBankの通話エリアに関しては今のところ様子見。
いざという時のために、
au機を最低限のプランで新規契約するつもりでいたのだが、
現時点では、それなしでなんとかなりそうだ。
本格的に山に入ったら、キャリアに限らず使えないエリアはたくさんある。
キャンプ場でも場所によって圏外だったりするし。
本当に万一の場合に備えるなら、無線機だ(笑)。

さて、どうだろう。
iPhoneは山形では使えない?

@iMac
 
 
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