ヌーヴェル・おせち・キュイジーヌ
スペシャル企画「マチルダ・ベイ特製御節」...がこれ!
今日は見るだけ(笑)
メニューリストがあるとウレシイなぁ >>マチベイさん
...とお願いしていたら、「年末特別企画」として
詳細な解説がシェフのブログにアップされていたので、
以下に引用します。
↓ヤケになって書いたとしか思えないほどブン長いです(笑)
【マチルダベイ 特製御節 2008】
「一の重」
・伊勢海老のフレンチ具足焼き
(半割りした伊勢海老は具足に例えられます。因みに、具足とは足につける甲冑の事であります。
ソース・ベシャメル(ホワイトソース)を作り、ソース・アメリケーヌ(海老のソース)と牛乳で延ばしていきます。塩で味を調えたらミックスチーズを入れソースとします。
伊勢海老をボイルし、半割りにしてソースをかけてオーブンで焼き上げます。
お伊勢様を重ね合わせた伊勢海老は縁起物といえるのではないでしょうか。)
・仔羊もも肉のロティ
(骨抜きした仔羊もも肉はにんにくと一緒にローストし、十分に休ませてからラップで包み冷蔵庫で保存します。
この料理の正式名は「ジゴ・ロティ」と言い、「ジゴ」は仔羊のもも肉を刺します。
つまり、この料理に込められた願いは、事故(ジゴ)のない一年を、というものです。オヤジギャグですか?いいんです、オヤジなんですから。)
・ブロッコリーとベーコンのソテー
(付け合せ的な要素が強い一品ですが、こういうシンプルなものがワインを誘発させる、と私は考えます。
太陽の光を浴びて育ったブロッコリーのように伸びて欲しい、という強引な願いが込められているのです。)
・白身魚、サーモン、海老のテリーヌ
(テリーヌ作りが得意な私を「テリーナー」と誰かに呼んで欲しい、とどうでもいい事を思ったのですが、どうでしょう?
白身魚のすり身をフードプロセッサーにかけ、卵白、生クリーム、ポマード状にしたバター、と共にムース状にし、デ(5ミリ角)にカットしたサーモン、小さくカットした海老を混ぜテリーヌ型に流し、蒸し上げます。
型に納まらない一年になるよう、そして、四角い仁鶴がまぁるく収める、という願いも込められております。)
「二の重」
・鶏肉のガランティーヌ
(鶏胸肉と鶏の白レバーをミンチにし、マデラ酒とコニャックで風味をつけたファルス(詰めるもの)を開いた鶏もも肉で巻き、更にラップで巻いて成型し、蒸し器で蒸し上げます。
出来上がったガランティーヌは切るとメダル型であります。ですから、メダル=お金、と考え、お金に困らない一年に、という願いが込められています。それは勿論、私も困らないよう願をかけての事であるのは言うまでもないでしょう)
・帆立と玉子のジェノワーズ ロール仕立て
(先日、ブログにも載せたこの料理、伊達巻を洋風に作れないものか、という発想から来ております。
和風では淡口醤油や上白糖が結構入りますが、甘すぎないよう砂糖の分量を抑え目にしてみました。
それでも結構甘いと思うのですが、日本酒でもイケるのではないか、と勝手に思っております。
黄色という色は「金色」を連想させる事から、金運に恵まれますように、という願いが込められております。
一の重でダブル金もの。これで金運がアップする事を願って止みません。そして、その暁にはどうか当店をご利用ください。)
・烏賊のリングフライ
(何の事はない料理かもしれませんが、衣の付け具合が意外と難しいのです。
なぜイカリングなのか?リングの穴から覗いて見てください、見通しがいいでしょ、そうです、見通しの良い年になることを願ったのです。)
・大海老のポシェ
(一本しか付いていない為、喧嘩になることも想定できますが、私は民主主義的に話し合いで決めていただきたい。その方が遺恨を残さない、と考えます。
尻尾から竹串を刺し背筋をピンと延ばした海老のように、緊張感のある一年の出だしとしていただきたい、そんな願いも込められております。)
「三の重」
・豚肉のリエット
(豚もも肉は塊のまま塩漬けにし、塩を洗い流して水から2時間茹でていきます。別鍋にラードを入れ、玉葱のスライスを炒めていきます。
茹でた豚もも肉、白ワイン、茹で汁、ローリエと共に2時間煮込んでいきます。煮込み終わったら大きなボールに移し、底を氷で冷やしながらスパチュール(木へら)で繊維質に崩し、脂とゼラチン質が固まってきたら練っていき、ペースト状にします。
手間の掛かるつまみですが、手間をかけただけの一品であると思い、そして、白ワインを合わせて欲しい、と密かに考えております。
「リエット」の「リエ」は、「繋ぐ」という意味を持ち、人の和を繋いでいく一年にしてください、との願いが込められている事は、案外知られていないでしょう。なぜなら、今考えたからです。)
・鯵のエスカベージュ
(3枚に卸してそれを半分にカットした鯵を素揚げして、野菜たっぷりのマリナージュ(マリネ液)でマリネします。
マリナージュの野菜には、人参、玉葱、セロリがあり、見た目は紅白。ナマスにも見える野菜で意味を理解していただきたいと思います。紅白は縁起物ですよね。)
・野菜のギリシャ風煮込み
(フランス語で言えば「グレッグ・ア・ラ・レギュウム」となりますが、今回の御節のテーマの一つとして「バランスの取れた御節内容」というのを考えました。
保存を目的としている最近の御節は、揚げ物や肉物が多く、栄養のバランス的にどうなのか、という疑問が前からありました。
野菜というと申し訳程度に添えられているレタスだったり、キャベツの千切りだったりするのを目の当たりにして疑問を通り越し怒りさえ覚えたものです。
シンプルな野菜料理には食べ飽きさせない、そして、ホッとさせるものがあります。それで、このメニューにしてみたのですがいかがでしたでしょうか。
カリフラワー、小玉葱、人参、セロリ、アルティショー(アーティチョーク)などは、個々に掃除をし、剥くものは剥き、形を整えます。この作業は真夜中の静かな厨房で行われた為、お寺で座禅を組んでいるかのような錯覚に陥ったものです。
その時、思うのです。人参はどのように剥かれたいのか?セロリはどんな形に仕上げられたいのか?カリフラワーは何処まで火を入れたいと思っているのか?色即是空、空即是色、色は肉体、空は精神、肉体は即ち精神であり、精神は即ち肉体である、肉体だけが特出できない、精神だけが特出する事はない、それは、肉体と精神のバランスである。技術だけでは料理は出来ない、理論だけでも料理が出来ない、そのバランスは、どちらのベクトルに向き過ぎても成立する事はなく、そしてそれは、永遠の課題でもある。
そんな事を思いながら、調理したものです。シンプルなものほど考えさせ、シンプルなものほど苦しませる、そんな想いに駆られ、料理はだから楽しいのである、と再確認されられました。
そんな個人的な想いを載せた料理が皆様の幸せを見守れる事を願っております。合掌。)
・チョリソーとキャベツの酢漬け
(フランスはアルザスの田舎料理をイメージして作ったこの一品は、白ワインを大量に飲んで欲しいという願いが込められております。
人生とは時としてチョリソーのように辛く、キャベツの酢漬けのように切ないものです。
味覚というのは色んなことを教えてくれます。冷たいもの、温かいもの、甘いもの、そして、塩辛いもの。
その中には思い出として残る料理もあり、それが記憶に組み込まれ、「美味しい」という言葉が出てきます。
その言葉は風に乗って、街を抜けて、森を通り、海に着き水蒸気に乗り雨となってまた土に返ります。その土からは虫が這い出て葉っぱを食べます。
食べられた葉っぱはまた土に返り・・・もう止めます、何を書いているのか判らなくなってしまいました。
いや、そのような願いと共にこの御節は作られたのだ、という事を書こうと思ったのですが、かなり遠い世界に行ってしまったようです。)
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