ビフォーアフターアフター:階段
■ビフォー:解体前の七日町の階段/1F→2F
1階玄関ホールから、階段はまず北に昇り、東へ90度折れて2階に続くL字型だった。
2階からさらに180度方向転換して3階へ向かう。
こちらはU字型で、つまり1階から3階へ昇る切るには、「南(1F玄関)→北→東(2F)→西→北→東(3F)」であった。
分かるか?ついて来れてる?
最初の瀬野プランがスチールのらせん階段だったのは、当然といえば当然。
いわゆる階段室が狭いうえに、踏み板の幅と緩い傾斜を確保するには最善の方法だったから。
しかも、正玄関の位置を変えたため、さらにこの「栄螺堂」はグルグル度を増したのだからさあたいへん(笑)
*なぜ玄関位置を変えたのかは、別エントリーで書きますね。
■アフター(素撮り):七日町リフォーム、オープンハウス時(引き渡し直前)
上の写真とほぼ同じ位置から撮影している。
リビルドの具合がよく分かると思う…ってか、3階へ行く階段がブツリと途絶えてなくなってる!(笑)
*その理由も別エントリーにて
1階から3階へとぶち抜かれるはずだったスチールのらせん階段が、ご覧のように木製の大工造作に変わったのは予算削減のため。
設計チーム、瀬野さん・金内さんのマジカルな仕様変更と、それを引き受けた升川建設さんおよび佐藤棟梁のミラクルな匠の技に脱帽である。
七日町の家のリビルドで、施工チームが一番苦労したのは間違いなくこの階段造作だと思う。
しかも(このシリーズは「しかも」とか「さらに」とか「なんと」が連発されますが、それぐらいマジカルでミラクルなことがいっぱいあるのだ 笑)、らせん階段のプランの時と変わらずに、2階天井まで吹抜ける本棚もそのまま実現。
本棚と階段のすき間の取り合いを実際に見ると、実にアンビリバボーなのだ。
3階への階段が消えたところのスノコスペースは、ペレット置き場。
そして本棚の高い場所にアクセスするキャットウォークへの足場を兼ねている。
■アフターアフター:引っ越し約1カ月後の暮らしぶり。
GWの引っ越しに合わせて帰郷してくれた長男に、本棚はすべて任せた。
宮町のアパートにあった本やレコード、七日町解体から僕の実家に避難していた義父の本(からセレクト)が納められた。
毎日、この階段を通って僕らの「母屋」へ行き来する。
それが、毎日毎日うれしい。
義父が購入し、前の家の壁を飾っていた絵画も、少しだけ置くことができたしね。
加藤みどりさんを招待して、この本棚階段の前で、「なんということでしょう!」と言ってもらいたい。
そんなビフォーアフターである。
階段の途中に腰掛けて、ふと目に留まった本を手に取って読む…余裕は今のところありません(笑)
これ、上で触れたキャットウォーク。
階段の真上空中にあるのがよく分かるよね(笑)
2階天井まで続く本棚にどうやってアクセスするか。
それが最初から最後の最後まで保留になっていた課題だった。
いつまでも解決策が提示されないので、考えて眠れない夜もあった(ウソ)
よく見るのは、左右幅に合わせてスライドする梯子。
きっとそうなるんだろうなと思っていた。
ところが、瀬野さんから現場でこのアイデアが飛び出した!
本当にその場でのひらめきだったのか、いつからか考えのなかにあって施主に隠していたのかは不明である(笑)
不明ではあるが、素晴らしい「結果オーライ」である。
キケン?いやいや、梯子昇って本を取るよりずっと安全!
空中ベンチにもなるから、ここから足をブラブラさせながら本を読むのも楽しいぞ♪
高所恐怖症の人には地獄だろうけど(笑)
設計監理:瀬野和広 + 設計アトリエ
設計共同:金内勝彦設計工房
施工:ますかわホーム(升川建設株式会社 ハウス事業部)
建築写真撮影:長岡信也(←施主 笑)