すっぽこ通信 '09 11/14号 【TB】

ほぼ1年ぶりの、すっぽこ研究所長っす。どもども。
11月に入り、すっぽこ店では冬季メニューとして解禁されている模様。
まだ未経験の方は、この冬、ぜひお試しくだされ。

すっぽこ」とは、山形市旧市街にのみ、
局地的に残る我がソウルフード。
湯切りしたうどんに、とろみの強いあんかけをトッピングしたもの。
あんかけの中には、椎茸が必ず入ると決まっていて、
中国では高級干し椎茸に限って「しっぽく」と呼ぶ場合もあります。
この「すっぽこ」をメニューとして食べられるお店は
市内にも数軒しかありません。
また古くから続く商家によっては、
家庭料理として今もその歴史が受け継がれています。
 
 
TB:ミントパパの 『愛とラーメンの日々』 : 「すっぽこ研究所」御中 - livedoor Blog(ブログ)

さてさて、「すっぽこ」は、その名前から、
由来を「しっぽく」に求めるのが一般的かもしれません。
しかし、香川県のしっぽくは、野菜煮込み汁をうどんにかけたもの、
もしくは、野菜煮込みうどんであり、兄弟よりもぐっと遠縁な、
再従兄弟ぐらいの血統図になると思っています。
卓袱料理の形態から「卓袱=たくさんの」といった解釈もあり、
香川(四国)のしっぽくうどんは、
「"具だくさん"うどん」と言い換えることもできます。

これに対し、京都・滋賀の「しっぽく」うどんは、
しいたけの煮付けや蒲鉾、湯葉、板麩、三つ葉などを乗せたもので、
つゆがあんかけか否かの違いで、「すっぽこ」に限りなく近い。
京都には、くず粉や片栗粉などを用いた"餡"の文化があり、
もちろん、あんかけうどんもあります。

したがって、すっぽこ研究所の正式見解としては、

  京都・滋賀の「しっぽく」うどんが、近江商人により山形に伝えられ、
  土着する過程で同じく京都の"餡文化"が混入された。
  また、高級椎茸をはじめとする贅沢な食材を用い、
  商いで富を築いたセレブ層の食べ物であったために広く大衆化せず、
  近江商人のお膝元である、山形市内旧市街にのみ普及が留まった。


と、考えています。

実際に、すっぽこは今も各店の最上位価格メニューとして、
位置づけられています。

また、上記の一般的な解釈から、
「すっぽこ」は「しっぽく」が訛った呼び名と思われています。
確かに、市内の店の中には「しっぽこ」と、
言葉がトランスフォームしていく過程系のものあるので、
これも間違いではないと思うのですが、
所長がとても気にしているのは、世界大百科事典(平凡社)のある記述。

「江戸時代における外国料理の書」の著者である平田萬里遠さんが、
【しっぽく】の項目を書いているのですが、その中に、
"卓袱は〈しっぽく〉〈すっぽこ〉などとも呼ばれ..."と明記してあるのです。
文字通りに理解すれば、「すっぽこ」は、
山形に伝来してから訛ったものではないことを示しています。
すっぽこ研究所通信 5/13号より)


もし、万一、奇特にも興味をおもちの方は、
ぜひ「すっぽこ研究所」アーカイブをご熟読ください。
長いです(笑)
 
 
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